第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹
はあ、とため息を吐かれ呆れた視線を感じながらも、硝子はぽやぽやとした細い白髪の生えた頭の額を指先で優しく撫でた。揺すられても触れられても平気で気持ちよさそうに眠る、ぷっくりとした頬の悟のそっくりさんは微動だにしない…やっぱり父親に似て大物になるのかもしれないね……。
それをベッド…私の足元付近の悟と傑が眺めている状況で。
「はぁー…エッモ。写真とっとこ、ハルカも顔色良くなってるし」
まーた写真撮ってらぁ…。産後よりはマシだけど。
とはいえ手の空いてない私の代わりに撮ってくれるのはありがたいかも。生まれてすぐなんて特別な写真だもんね。
親馬鹿になりそうな悟からため息から始まった、口を開いた硝子に私は視線を移した。
「……とはいえ、何人も予定してんなら不特定多数の居るこういう病院は危険だ。次回からは考えた方が良いぞ、五条夫妻。これからはハルカだけじゃなく、生まれた子供や生まれる子供が狙われていく……自称最強って言ったっていつも守れるとは限らないんだから。聞いてるのか、そこの危機感ない親馬鹿」
「分かってるよ、硝子。多分今回で病院での出産は控えるようになる。その時はオマエに頼らせて貰うかも」
はあ、と面倒くさそうな硝子の文句がたくさん含まれていそうなため息を聞きながら。
夢の中に居ながらくすぐったそうに顔を僅かにしかめた顔を見て、蒼空の顔に触れてた指を離した硝子。もしかして起きちゃうかな……?という視線が集まる中でぐっすりと眠る大物ベビー。
何か悪い事が起こらなければ良いけど……と、ふにふにとした頬を指先で突けばまた一瞬小さなパーツの顔をしかめ、蒼空は安心した表情ですやすやと眠っていた。