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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹


──どれくらい時間が経ったのか、それともまだ十分とかそこらなのか良く分からない。
ぎりぎりといつも手加減をする手を握る握力は遠慮がない。よほど余裕が無いと見た。

『はぁ…っ、はぁ、はぁっ』
「ハルカっ、そこラマーズな呼吸法!フッフッフッ、ほらっ!」
『息を、吸わせろってんだ…!あれか?私は、悪魔城を攻略しにきたハンター、』
「ほらお母さん!旦那さんにツッコミ入れてるその元気は赤ちゃんの為に使いましょうねっ!?」

助産師にそうツッコまれて一瞬チベットスナギツネみたいな顔をしたハルカは小さくすいませんってしおらしくなっちゃってさ。ンフッ、と笑った僕をその助産師は睨みつけてくる。

「旦那さんもまた出入り禁止にされたくなければ余計な事をしないで下さいねっ!?」
「あい分かった」
『なんでそこ三日月宗近ってんの……?』

キッ、と助産師の視線を感じてハルカは急に頑張る!というムードに戻す。少しだけ気が紛れたのか、呼吸を整えて力んでる。

『ふぅ…っ、うぅぅ…!』

互いの手をぎゅっと握って、頑張れ、頑張れ、と祈った。なんでも出来る天才っていってもこれは僕には出来ない事。もう僕には祈ることしか出来ないし。
先生たちが「もう少し、もっと力入れて!」と言っていて、握る手はそのままで、下腹部方向に見える蒼空の頭部の方向の先……そっとタオルの隠す場所をギリギリで覗き込めば、もう少しで誕生日が決められるその瞬間を待ってる僕とハルカの子の頭部が見え始めてる。その頭部は血に塗れていたけれど、細い頭髪が濡れ、頭部に張り付いてる光景。

「(あ……、)」

もうすぐだ、もうあと一息で僕らの子供が生まれ出る…!
すぐに、涙ぐみながら肩を上下させて呼吸を荒くしてる彼女を見た。何度も力んでちょっとだけ休憩してるのは分かるけれど、あまりこの状態で赤ちゃんを留まらせるのも危険…。

「ハルカっ!頭がちょっと見えてきたよっ!あと少しだ…!」
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