第16章 月と太陽
「仮面が…取れた…」
誰かが呟いた。
目の前で仮面が落ちたのを見ていたダンデも、驚いての仮面のない方の顔を見ていた。
「だ、んで…さん…あ、ちがっ----こんなの、わたしじゃ…ち、違うッ!!あ…あああ、あああああああああ!!!」
「、落ち着くんだ!」
頭を抱えては泣き出した。ダンデも慌ててに手を伸ばすが、はまたダンデの手を拒むように弾いた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ちが、違うんです!!こんなこと私望んでない!もう、嫌だ…誰も傷つけたくないのに…バトルなんて、もう…うっ…うううう、ゆ、許して、…っ」
頭を抱え、ダンデから離れたいのか一歩、一歩と距離を取ろうと後ろへ下がる。
「お前の見たかったのは、これのことか…?」
錯乱しているの様子に、キバナは静かに、怒りを抑えるように呟いた。キバナの隣にいたインゴは、望みのものが見れて喜んでいるのか、ジッとを見下ろしている。
「ただバトルのことしか考えられないあの女が、正気に戻った瞬間、最高だと思いませんカ?己のしてきた事に罪悪感を感じ、許しを乞う姿の、なんと滑稽なことカ……あの女は、自分の持っている狂気を受け入れられないんですヨ」
「無理やり引き出したんだろ、お前が」
ごめんなさい!と、の悲痛の声が響き、キバナの心をキリキリと締め付ける。
(今晩みたいなこと…いや、もっと望まないバトルまでさせられてきたと思うと…クソっ!胸糞悪りぃ!!)
未だに磔にされ、動けない体にキバナは苛立っていた。