第15章 真夜中の開幕劇
ズシャ----最後に立っていたタルップルが、所々を焦がして倒れた。
「そんな…!」
すでに倒れていたガジリガメに寄り添っていたルリナが、驚愕の目でとシビルドンを見ていた。ヤローも気絶しているタルップルの元に駆け寄り、逞しい腕で抱き抱えた。
「なんて強さじゃ…まさか、火炎放射を覚えてるなんて…さすがとしか言いようがないんだな」
ヤローは困ったような、苦笑でを見据えると、はニィっと口角を上げて笑っていた----その姿に、畏怖さえ感じると、ヤローは静かに思った。
(ダンデ君と戦っていた時とはまた違う感じじゃ)
「まずは二人、敗者の方には退場していただきますね」
「「!?」」
はモンスターボールからメタグロスを出した。
「何を…」
「特別ルールありって言ったじゃないですか。メタグロス、あそこの二人にサイコキネシス」
「メタ」と、メタグロスが無機質な声色で呟いた。サイコキネシスを発動したメタグロスは、ヤローとルリナを地面からフワッと浮き上がらせ、スタジアム前に並んでいた電灯の前に浮き留めた。
「動かない…!!やめて!おかしいわ、こんなこと!!」
ルリナが悲痛な声でに訴えかけたが、は鼻歌を歌いながら二人を見上げた。
そしてクルリと、二人に背を向けて、まだバトルをしているインゴとメロンとカブの方に興味を示していて、もう二人には興味はないと言わんばかりだ。
「…どうして……」
「しっかりするんだな、ルリナさん!メロンさんとカブさんがなんとかしてくれるかもしれん----それに、キバナ君たちも来てくれる!今は耐えるんじゃ!」
「ヤロー…」
「俺は負けてしもうて助けれんが…カッコ悪い姿じゃ」
「…そんなことです。今ので十分元気が出てきました」
ルリナはグッと辛いのを堪え、自分たちに背を向けるを切なく、でも諦めないと力強く見つめた。
(キバナさん、早く来て!これ以上に罪を重ねさせないで!!)