第10章 チャンピオンカップ
「やっぱりダンデのドラパルトは強ぇな」
キバナが嬉しそうにダンデのドラパルトを見て言った。
「のドラピオンもナイス執念です」
ネズは十万ボルトを三発も受けても尚諦めないドラピオンに感心していた。
「カブさん、あいつに大分苦戦させられてたよな…実際見るとやっぱり厄介なポケモンだよなぁ」
キバナはネズの試合の動画を見ていた時のことを思い出した。毒びしでだいぶ苦戦を強いられた挙句、タフネスなドラピオンに二体も抑え込まれてた。あの動画を見て、震え上がったトレーナーは何人いただろうか…。
「ん?そういえば毒びし…使ってないよな…」
あれだけカブを苦しめた技を、今回使わなかったことにキバナは疑問を感じ始めた。その疑問はモヤモヤと広がり始め、ドラパルトを注意深く見た。
「----使わなかった、ではなく、使えなかった…としたら」
意味深なことを言ったネズに、キバナの不安に感じていたものが、確信に変わった。
「次のバトル、そう長くないでしょうね」
「っとに、あのドラピオンやりやがったぜ!」
キバナはニィっと白い歯を見せるようにダンデを見下ろした。
「マジでヤベェぞ、ダンデ…」
(…ヤベェのはお前の顔だよ…こんな顔でも喜ぶファンはいるというのは、世の中よくわからねぇ)
ネズははぁ、とため息をついて膝の上で大人しく座っているエレズンを見た。エレズンは試合が開始してから、驚きの声を上げたり、仲間の活躍に声を上げてもいたが、絶対に目を逸らさずにバトルを食い入るように見つめていた。
(コイツも将来厄介な相手になりそうだ…)
自分の手持ちにもいるストリンダーが、どれほど強いポケモンかわかっているネズは、今膝の上にちょこんと座っているエレズンに口元を少し緩ませた。