第8章 ジム巡り②
はオニオンの方を見ると、倒れたゲンガーを起こして労っていた。ゲンガーは自分を労わるオニオンに不甲斐ないといったような、落ち込みを見せていた。
しかしオニオンは落ち込んでいるゲンガーを励まそうとしている様子が見て取れ、はジッとその光景を見つめた。
それは自分が旅立って間もない頃、幼馴染とバトルをして負けた日の自分が重なって見えた。
「ゲン」
のゲンガーは、オニオンのゲンガーに歩み寄ると、手を差し出していた。最初はキョトンとしていたオニオンのゲンガーも、のゲンガーに差し出された手を取って立ち上がった。
「ゲンゲン、ゲーン!」
「ゲーン…」
何を言っているかはわからないが、落ち込んでいたオニオンのゲンガーの顔がみるみる明るくなり、二匹はまだ繋がっている手をギュッと力を込めて握り返した。
「あ、ありがとうございます…さん」
「(ひっ!)あ、ああオニオンくん!」
ゲンガーたちのやりとりに夢中になっていたは、突然前に現れたオニオンにビクッと体を震わせ驚いた。
「あ、あなたの、ゲンガーって……と、とても優しいんですね!」
「久しぶりに自分と同じポケモンに会えて嬉しかったのかも…オニオンくんとバトルする前、すごく気合い入ってたんだよ」
「そうですか……さん、バトルとても強かったです!……ゴーストバッチです……」
「あ、はい」
なんの脈絡もなく、はオニオンと握手を交わすと、手渡されたゴーストバッチに、は慌てて手を出して受け取った。
「ゲンガー!あれやるよ!」
「ゲン!」
はゲンガーに声をかけると、ゲンガーは目をキラキラさせてこちらに走り寄ってきた。そしてググッと足に力を込めて、とゲンガーはバッチを掲げて飛び上がった。
「ゴーストバッチ、ゲットだぜ!」
「ゲーン!」
歓声の上がるスタジアムで、微笑んでいるを見上げたゲンガーは、ニッコリと笑った。