第12章 Hi!
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……寝てる。
縁側で一人、横たわって。
侑くんが寝てる。
貴重なオフだろうし、久々に会う人もいっぱいいるだろうし。
もう、ここにはいないかなって思いつつきてみたんだけど。
邪魔にならないようになるべくそっと、干してあるお布団を取り込んで。
それでも起きちゃうかなって思ったけどすーすー言って寝てて。
侑くんの寝顔… ちょっと近くで拝見させていただこう。
侑くんが座布団を二つ重ねて枕にしてるので、
もう一枚持って来て枕元に並ぶように座った。
かわいい、寝顔。
筋肉質な身体。
好戦的だったり、献身的だったり、無邪気だったり。
お茶目で魅力的な人柄。
……ツーブロックってずるい。
かっこいいし、理にかなってる感じが、たまらなくずるい。
辞書と一緒に、オノヨーコのgrapefruitsを持って来た。大好きな作品集。
なんとなく、もし侑くんがもうここにいなくても、ここに座って開こうかなと思って。
MAP PIECE
Draw a map to get lost.
1964 Spring
パッと開いた項にはそう、書かれていた。
迷うための地図を描いてみて。
目を瞑って想像してみる。
ほんとに、足を使って迷うための地図にする?
それとももっと抽象的な?
もしくは、精神的に迷子になってみる?
しばらくぼんやりと考えていた。
考えと想像の間というか。どっちもというか。
楽しく真剣に且つぼんやりと考えた。
そうだな、あとで本当の地図を取り出して、
物理的に迷子になるだろう地図を描いてみよう。
でもわたし迷子にならないんだよな…
地図に強いからじゃなくて、自分が迷子だと気付かないから。
ただただ歩き続けていれば、どうにかたどり着いてきた、今までは。
…そういえば、高2の時研磨くん迷子になったって言ってたな。
それで初めて翔陽くんに会ったんだよね。
その話をしてくれた時のことすごくよく覚えてる。
迷子の研磨くん… わたしも遭遇したいな。
つい、笑みがこぼれ出た。
よく言えば。
ありのままに言えば、顔がにやけるのを抑えれなかった。