• テキストサイズ

【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第12章 Hi!


ー穂波sideー








侑くんの名前を出したあたりで、また治くんの目が、空気が、冷たくなった。

それからわたしの汗を拭うように指に首を這わせ、
そのまま顔が近づいて来て生暖かく柔らかい舌の感触がした。

思わず声が出て、やめて、と言ったその瞬間。










『…ッんぁ』









治くんの唇が首筋にちうううと吸い付いた。
痕が残るか残らないかくらいの甘さだろうか、
とにかくわたしの身体はうんざりするほど素直に反応した。










「…気持ちええの?」

『…ちが』

「ん、口移ししたる」










そう言って治くんはわたしの口を塞ぎ、
たっぷりと唾液を絡めるように注ぐように舌をねじ込んだ。











『…っはぁ も、だめ』

「ん? もうせんよ? 安心し?」

『…なっ』










ここまで色っぽく弄んでおいて、
元々そのつもりでしたと言わんばかりの治くんの様子に調子が崩れる。

自分から次は、仕掛けてしまいそうになる、あの時のように。

それを見越したかのように治くんはふっと笑って、
今しがた吸い付いたところに指を這わせた。











「蚊がおったやろ、この部屋」

『え?あ、うん、治くんが捕まえたやつ』

「あれ、血吸うてたやん?」

『うん』

「そこ噛んどったんやって。見とったんよ、俺それ。
旨いんやろな〜穂波ちゃんの血。 ええなー俺も首筋吸い付きたいわって」

『…?』

「やから、毒吸ったってん」

『毒』

「ほんで、口移ししといた。なんか、耐性つきそうやん?」

『…耐性』










こじつけともとれるその話の展開に
次の言葉が出ないでいるわたしの頭をぽんぽんっとして治くんはにかっと笑った。

それから額にさわやかなキスをちゅっと落として、



「買い出し行ってくるわ。
まだ日常とは呼べんけど、でも俺らの時間もなかなかええ感じに積み重ねられて来てるよな?
少ない時間なりにかなりええ感じやと思うわ」



そう言って先に部屋を出て行った。









ポカンとしたまま首筋に指を這わすと、確かにそこにぷくっと蚊に刺された痕があった。


















/ 1069ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp