第11章 ラングラー
ー研磨sideー
『2人が仲良くなってる、前よりずっと。それだけはわかる。
…だから、嬉しいなぁってなってる』
よく、わかんないけど。
穂波が嬉しいならいいや。
ぐるぐるしてないかなってちょっと、思ったけど。
元也くんいるし、大丈夫かなって。
やっぱ、大丈夫だった。
それからそのままの流れで、おれも角名くんも手伝うことになって。
もうそんなに仕込みは残ってなかったみたいだから、すぐに終わった。
終わって仕舞えば、次は決まってて。
「海ぃーーー!!」
海に来た。
穂波の家族ぐるみの知り合いの店に元也くんたち3人分のサーフボード借りに寄ってから。
普通は閉店前に返して、ってとこだけどそのまま明日までいいよって。
かなり、親しい顔馴染みらしい。
『入りたいよねぇ、まずは入っちゃおっか〜』
「まずは?」
『まずは、海みよっか〜それから砂の上で練習〜ってしようと思ったんだけど』
「海を見る?」
『うん、波とか風とか、あとは他のサーファーとか……』
「じゃあ、その通りにやろか。だってその方が地球とセックスしてるって感じになるんちゃうん?」
『あだっ にゃっ なにをっ』
「違うの?」
「…ふ」
穂波はたじたじしながら、違う!とも否定できずにいる。
かわいい。
波とか風とか、か。
アキくんの出てる大会とか見てて、少し波の見方みたいなのはわかった。
英語実況でしか見たことないから、サーフィンワードとかわかんないけど。
綺麗な波が来てるとこは、サーファーたちがぷかぷかしてる。
でもおれらはきっとそこには行かない、行くわけない。
多分あの辺の白波が立ってるあたりでやるんだろ。