第11章 ラングラー

「何よりこうやって… 正直に、馬鹿正直なくらいに話してくれるから。
ダイジョーブ。　おれから穂波の気持ちが離れない限り」

『でもそれってやっぱり、』

「甘えだね。　だから言ってるじゃん、甘えればいいって」

『………』

「それにおれだって甘えてる。　穂波がおれをすきでいてくれることに。
こういうとき怒ればラクにしてあげれるかもしれないのに、ほらおれ、全然怒り湧いてこないし」

『ラクにだなんてなりたくない…… 研磨くんといるために、必要ならもがきたい』

「ほらそうやって…」










そうかもしれない。
研磨くんの沼にしっかりはまってるんだ、わたしはわたしのままで。

もがくことすら快感で、ここから離れることなんてできない。









実際にはそんな危ない関係ではないはずなんだけど、
時折研磨くんが見せる表情に、考えの一つに、そういう匂いがあって。

エッチしてる時とか特に… そういうのが、わたしを煽ることがある。











「…ふ　そんな依存関係ではないはずなんだけど。
そういう風に捉えても、結構唆るよね」

『………』

「…仕込み、治くんに任せたままでいいの？」

『あ、うん、わたしも行っていいの…かな？』

「どうしようかな… もう関わるなとか、言ってほしい？」

『…うう………』









言って欲しいかと言われると、その強めな独占欲とかみたいなのにはグッとくる。
でもわたしの本質的なところは、治くんだからとかではなく…










「…ふ　答えなんて結局そこにあるから」

『………』

「あんま難しくしなくていいんじゃない？」

『………』

「それに多分おれ拗らせると厄介だよ？」

『………』










拗れた研磨くんすら見てみたい気もするけど……










今のままが心地いいのも本当だ。
だって何より研磨くんが、無理をしていないから。

きっと拗らせるときは、お互いに依存してしまって、結果すごく傷付きそうだ。










だから本能的にか、思慮的にかわからないけど、
研磨くんはずっと、このスタンスをキープしてくれてる。

ほんとに、頭があがらない。