第7章 su casa
ー穂波sideー
「おー!鉄朗! うぇーい」
周平がクロさんのとこへ行ってハイタッチ。
周平もこの間高校卒業したばっかだけど、
カナダ時代に免許は取得してて、
わたしたちより歳は一つ上だから、去年18歳になってから国際免許の申請をしてて。
だから、免許持ってるし運転も慣れてる。
「…ちょ、ランクルまじで緊張する。コンビニとか寄るのがこわいオチ」
「あはは!道路狭いしな、日本。でも信号はわかりやすい」
「…? そうなの?」
「穂波向こうで運転すんの?」
『え? うん? わかんないけど、カズくんもいるし必要なことがあったら。
極力バスと自転車で済ませたいけど』
「慣れろ慣れろ。お前は絶対慣れるべき」
『………』
「って言うか周平みたいに向こうで取った方が簡単で安いんじゃないの?」
『あぁ、うん。それは格段に安いんだけど』
「安いっていくら?」
『カリフォルニアだと35ドル』
「それはつまり」
『4000円しないくらいかな』
「やっす!桁違いにも程があるくらい安いじゃん!」
『でもなんかわたしは自分が信じれなくて』
「…?」
『運転上手にできる気がしなくて、こっちで免許とってくことにした』
「…へ、へぇ そっか」
友達や知り合いの大人に教わって、いける!って思ったらテスト受けて免許取得。
イージーで、合理的で、そして生活に密接してる感じがとてもいいと思う。
実際、誰にでも運転できるように作られた乗り物なのだから、それで事足りるんだとは思う。
けど、鉄の塊なわけだし。
何かやってしまった場合、自分だけが傷付く、という確率は低い気がして。
ちゃんと教わりたいな、形式貼っててもいい、実用的じゃないことまで教わってもいい。
そう思って、日本の車校に行くことにした。
4月、研磨くんの大学が始まる頃に、わたしも通い始める。