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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第7章 su casa


ー研磨sideー








ちょっと、待って……









なにこれ。
みんな泣いてるんだけど。

福永も、小さく、泣いてる。









「…え、虎。 何でそんな泣いてるの。 もう行くよ。 クロ、意味わかんない」

「…お前のせいだろうが! まじふざけんなよ!」

「え。なんでいきなりキレてるの」

「……はぁ…」










でも。










「うん、父さん。 いつでも、甘えさせてもらう。 母さんのご飯食べたいし。
ていうか、学費とかまだ出してもらう身だし。 んーと… だから、これからもよろしく。
…今日のうちに向こうから連絡する。 …じゃ、行くね」

「うぉぉぉぉーーーー 研磨ぁぁぁぁぁーーー きゃんまぁぁぁーーー お前ってやつはぁぁぁーーー!!」









げっ 虎が… 凄い勢いで、こっちに…








「ちょっと虎、来ないで。 福永も悪ノリしないで…!」







福永まで変な動きしながらこっちに来るし。










「…ちょっとクロ……」

「いやお前が悪い」

「…え、なんで クロの、薄情者」

「はっ!?お前なに言って…!」










よくわかんないけど虎にも福永にもクロにもわちゃわちゃにされて、
みんなおれより大きいから潰されるし、
そのくせみんながわざわざ屈んで顔を拭うから黒いTシャツは鼻水でてかてか光るし、
それ見て母さんも父さんも泣きながら笑ってるしで意味わかんない。

意味わかんないくらいわちゃわちゃしてから家を出た。

あんなわちゃわちゃで騒がしいおれん家、生まれて初めて見た。









「お前はあんな家初めて見たみたいな疲れた顔してるけどさ、」








運転席からクロが何か言いはじめる。
助手席に乗ったおれに。







「あんなこと言う研磨、生まれて初めてみるんだよ、こっちは。
それから今後も言われるなんて期待も予想もしてねーんだよ。
ほんと、お前ってやつは…… 隠れ天然たらしなのか?」

「は?」

「なんでもねーわ… じゃあ、出発すんぞー」

「…ん、よろしく」









ランクルの座席は高い。
見える世界が違う。



馬に乗ってみる世界は違って見えるって穂波、言ってたな。
こんな、感じなのかな、とか。







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