第13章 新たな風
2人で他愛もない話をしながら駅から歩ちゃんの家まで歩いていると、大きな公園の横を通りがかった
「ここね、よく翔陽にスパイク練付き合わされる公園なんですよー」
チョコミントのアイスを食べながら歩ちゃんが言う
「チビちゃんと家近いんだ?」
「いや、近くないんですけど、あの子は山なんで。うちの家が通り道なんですよ」
「どんな練習付き合わされてたの?」
「私のド下手なトスで、スパイク打ってました。オープンでいいから、たかーくたかーく!って言われて真っ暗になるまで」
そっか…やっぱ同じ学校っていいなぁ
どちらからともなく、公園の敷地内に入る
薄暗い公園には人の影もまばらだった
「ここ芝生なんで、2人で最終こうやって転がって」
そう言いながら歩ちゃんは芝生に足を投げ出して座り、俺もその隣に腰を下ろした
「芝生いいね」
「コンクリートで素人がバレーボールやったら、負傷しますからね」
「ねぇ、歩ちゃん」
「なんですか?」
「ちょーだい」
俺が言うと歩ちゃんは、半分くらいの短さになったアイスを差し出す
「えぇーチョコミントなし派やって…
と口を尖らせる彼女の唇を強引に奪う
チュ…クチュ…
アイスが欲しかったわけじゃないんだよ?
ずっとずっと欲しかったのは…君自身
閉じられた唇の間に舌を捻じ込み、逃げ惑う彼女の舌を追い回すと、口の中にミントの香りが拡がる
「んーっんーっ」
首を左右に振って抵抗する歩ちゃんを抱き寄せて、手首を掴み、離れられないようにする
チュ…ジュル…
どれくらいそうしていたのだろうか
永久だったようにも思えるし、刹那だったのかもしれない
俺を振り払った歩ちゃんがキッと睨みつけてくる
「ッッ…ハァハァ…なっ、何するんですか?!」
「ほんっと…男心の分かんない子だね」