第4章 瀞霊廷の生活
ひょい、ひょい
そんな効果音が付きそうなほど、軽快に作業を進める美穂子を恋次は見つめていた。
ここにある書類は普通の平隊士にやらせるには少々内容の難しい書類ばかりだ。
印のついているモノはいいとしても、それ以外のものは果たして大丈夫なのか。
(後で、結局俺がやるんだろうな…)
恋次は小さなため息をついて筆を走らせると、美穂子の席がガタリと動いた。
「朽木さん、とりあえず作業完了です」
「…早いな」
「そうですか? あ、後…この書類は分類できません。内容が題名の報告内容と同一じゃないので…」
白哉はぴくりと眉を動かすと、数枚の書類を美穂子から受け取った。
内容を確認すると、顔をあげた。
「恋次」
「は、はい」
「今すぐ、この報告書を書き直すように言え」
「え?」
恋次は席から立ち上がって、白哉から書類を受け取った。
そこには他の席官が虚討伐に行った時の報告書だった。
まじまじと中身を読んで、恋次は小さなため息をついた。
席官だからと、内容を確認しなかったのはまずかったようだ。
「―…わかりました。すぐ、書き直させます」
恋次はそういうと、書類を片手に小さく頭を下げて扉のほうへ向かっていった。
それを見て取ると、白哉はゆっくりと美穂子を見た。
「すまぬが、あちらの書類もお願いできるか」
美穂子は目をぱちくりさせた。
「……、はい!」
白哉の言葉に、美穂子は少なからず嬉しさを感じて、意気揚々と詰まれた書類へと足を向けた。