第3章 瀞霊廷での居場所
白哉は後ろから付いてくる女をちらりと見た。
茶色の髪は長く艶やかで、動くたびに揺れている。
家にあった適当な着物を用意させたが、思いのほか似合っていて驚いた。
出逢った時の服装から考えて、おそらく着物は着られないだろうと思って、一応部屋の前にいた。
最悪の場合は女中を呼んで準備させるつもりで。
けれど、多少格好悪い帯の結び方ではあったが、基本的に着物を着れたことに少々驚いた。
そして、感謝をされたことにも、屋敷に向かって一礼したことも意外だった。
それなりに礼儀と言うものは教育を受けているらしい。
(…一番隊の牢屋へ入れて四十六室の判断待ち、というのが固いか)
先ほどの様子では、おそらく彼女は何もわからないのだろう。
このまま一番隊に連れて行っても、きっと解決はしないだろうと予想がついた。
何せ少し前まで裏切りがあり、四十六室も全滅している。
入れ替わったとはいえ、素性がはっきりしない女を野放しにするとは到底思えない。
白哉は眉を顰めると、後ろから聞こえる下駄の音を聞きながら一番隊へと向かった。