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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃/猗窩座・狛治】

第9章 月詠の子守唄



筆を置かせて、無防備にキョトンとした顔に惹かれて奪うように口づけた。

何度も軽く唇を重ねるたびに、込み上げる愛おしさはどうやっても止められそうにない。

その先が抑えきれなくなって、背を支えて優しく押し倒すと、頬を赤らめて「人も多いです。ここでは聞こえてしまいます。」と抗議した。

「声を抑えればいい。」
「汚れてしまいます。」
「俺が後でこっそり洗っておく。」
「でも.....、」
「嫌そうな顔はしていないぞ?」
「そ、それは......。」

必死に言い訳を探そうとして顔を赤らめて反らすのがまた可愛く映る。
それに、顔を反らしたことで晒された傷がある首筋の線が美しい。

おもわずそこにかぶりつく。

「ひゃう!」
「いい反応だ。」

速くなった呼吸で動く喉が、恥ずかしそうに俺を見る目がなんと扇情的か。
思わず舌なめずりして、かぶりついた場所から、筋を嬲って耳を口に含んだ。

艶めいた息は甘い匂いと音で俺を昇らせる。くすぐったがって身を捩るのが堪らない。

悪戯したくなって耳元で息がかかるように

「桜華はいつにも増して色目香しいな」

と囁く。

「もう...。」

困ったように眉を寄せ頬を染める。
こちらに向き直った桜華の両手を封じて鼻先と額と頬と口づけた。
期待が先走ってせがむように顎を上げてくるのは狙い通り。

双眼が俺の口と目を往復して戸惑ったような顔を見せる。

「どうした...?」
「どう...って?」
「強請ってみろ」

加虐心と愛おしさとなら愛おしさが増すだろう。
口からはずるいことが出ても視界、聴覚、感触から拾ってくる愛おしさと可愛らしさに、心も表情筋も緩みっぱなしだ。

「.......口にいっぱいして....。」

お互いに囁くような声量で鼻先がつくくらいの距離。
強請り方から口が勝手に綻んでしまうと、戸惑いがちに桜華が微笑んだ。

軽く、でも耳に残るような乾いた音を立てて口づけを堕とすと嬉しそうに応える。

首の後ろに腕を回されて、その先を受け入れるという承認に応えるように唇の隙間に舌を捻じ込んだ。


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