• テキストサイズ

マリージョアの風【ONE PIECE】

第4章 友達


夢の中で、急に自分自身を俯瞰したような視点になる。


10歳くらいの泣きじゃくるあたし。


今と何も変わらない。
幼稚で自分勝手なあたしがそこにいた。



──場面が変わる。



急に辺りが白くなった。
森もローもあたしも、白にのまれて消える。


そんな真っ白な世界に、ぽつんと教会が現れた。
マリーゴールドじゃない。


ここは、ポアロ教会。


白は雪だった。
雪の上に赤の染みがあった。


これが何か、あたしは知っている。
そして、誰のものであるかも。


赤はあたしの目の前でじわじわと広がり、ふと気配を感じて振り返ると血に塗れた二人の男が転がっていた。


動かない。
そりゃそうだ、死んでいるから。


そして、これはあたしがやった。
全部、知っていた。


恐怖はなかった。
息をしない2人の人間は人形と同じだったから。


思考を放棄して、黙ってその惨劇を見つめる。
心の中には、ただ、虚無だけが広がっていた。



──不意に頭に何かが乗った。
温かい。


誰かの手だと気づくまでに少し時間がかかる。


ふと横を見ると、ローがいた。


あの頃と同じ背格好。
何も更新されていない、あの頃のまま。


頭にぽんぽんと手を乗せて、あたしを見つめる。
無表情の顔が少しだけ苦痛に歪んだ気がした。


「…悪かった」


どうして。
どうしてローが謝るの。


謝るくらいなら、そばにいてよ。
助けに来て。


夢じゃなくて、現実で頭を撫でてよ。



あの頃みたいに泣きながら詰ってやろうとして。



──そこで目が覚めた。



/ 716ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp