第17章 岐路(Ⅱ)
そうか、でも。帰る………かぁ。
あの島に。愛しいあの場所に。
しばらくそんなこと考えてなかったな。
以前のように強く帰りたいとも思わなくなっていたから。
みんなにまた会えるのは嬉しいんだけど、ね。
──あたしにはまだ、"やらないといけないこと"があるから。それだけはできないのよ。
…それに。
「このまま帰ったら、あたし、ライと結婚しなきゃいけなくなるじゃないの…」
別にそれが理由なわけじゃないけれど、なんとなく思い出してつぶやくと、意外にもローは少し興味を持ったようだった。顔をあげてこちらを見る。
「…あの赤髪のガキか?」
あたしは無言でコクコクと頷く。
そう、それよ。
赤髪のガキなんて教会に1人しかいなかったんだから、ローが思い出した奴で多分間違いない。もうガキじゃないけどね。
それにしても6年も前の教会の孤児を覚えてたなんて驚きよ。ローは必ずあたしが1人の時に現れたから、ライとは話したこともないに違いないのに。
どんな反応をするのかと思って見てたら、何のことはない、ローは口の端を上げて、
「へェ...」
と、面白そうに笑った。
なんだそりゃ!!
それはどういう笑いなのよ!!
へぇ、結婚するような歳になったんだな。
もしくは、
へぇ、お前と結婚してくれる奴がいたんだな。
どっちかに決まってる。
どっちもかもしんない。
……くそう。