第14章 ゆりかご
…なるほど。確かに、ローが出てきてヴェルゴと戦ったところで、あたしシーザーやモネからローの心臓を守れる自信なんてないかもしれない。
ローの能力は使うごとに体力を奪うものだから、あたしやルフィたち全員を外へ出すほどのサークルを作るのは彼にとって負荷が大きかったのだろうし。
でもじゃあ。
「ローとあたしの位置を入れ替えるってのは?」
中身を入れ替えるのとそんなに変わらない…というかそっちの方がローも動きやすかったんじゃ?
そう言うと、ローは今までで一番不機嫌そうな顔をして今度はちゃんとあたしを見た。
「入れ替えたら、檻の中で大人しくしたのか?…てめェは動くなと言ったところで聞かねェだろうが」
ああ、なんだそうか。わかった。
…どうやらあたしは、すっかり彼の信用を失ってしまったらしい。
確かに、ローが位置を変えたところで、彼の危険を察知した瞬間、あたしは飛び出して行ってしまいそうだ。
そして、彼はそこまで考えて、あの時できる最善の選択をしたのだとあたしはようやく気づいた。
「お前のせいでとんだ茶番に付き合う羽目になった」
そう言うローにあたしも言い返したい気持ちはあったけど、口を開けたまま固まってしまい、結局何も言葉が出てこなかった。
あの時、彼の敵はヴェルゴだけじゃなかったのだ。
…あたしという跳ねっ返り娘がいたせいで。