第14章 ゆりかご
「何だお前…どうやって海楼石の鎖取ったんだ!?」
素直に驚く麦わらの彼。
そんな彼に、ローは平然と返す。
「初めからおれのはただの鎖だ。能力で簡単に解ける。おれが何ヶ月ここにいたと思ってんだ」
そして、ルフィたちの鎖を斬りながら説明を続けた。
「いざって時にすり替えられるように普通の鎖を研究所内にいくつも用意しておいた。何かの間違いでおれが捕まった時、海楼石だけは避けられるようにな…」
あたしはもう呆れ返って彼を見つめるしかなかった。
自分の能力くらい全部把握してるし、それに、例え敵対してるとシーザーにバレたとしても、ただでは捕まらないってわけね。策士な彼らしいと言えば彼らしい。
あたしばっかり慌てて突っ走って、ほんと馬鹿みたい。あたしが焦る必要なんて、ひとっつも無かったんじゃないの。
そう思ってから、あたしは何やら引っかかるものを感じた。
今更気づくのもニブイ話なんだけど。
そう、確かにローは能力を使ってあたしと自分を入れ替えた。
ってことは、本人も言ってたようにもともと能力は封じられてなかったんだ。
それなら、中身を入れ替えるなんて面倒なことする必要なかったんじゃないの?彼ならもっと賢くやれたはず。
思うと同時に口を開く。
「能力が使えたんなら…ロー自身が檻から出て来れば良かったんじゃない」
だけど。
「お前がおれの心臓持ってただろ。それを取られりゃ振り出しに戻るだけだ」
そう言って目線を合わさないまま、あたしの手の中から自分の心臓を取るロー。