第21章 不確かな繋がり
「ハッ。何を、馬鹿馬鹿しい。そんなものは簡単なことですよ。心臓をひと突きにすればいい」
「それは…天使と魔族の血が混ざっていても、有効なんでしょうか?」
「ヴァンパイアならば、銀のナイフで心臓をひと突きすれば死にますが。ただ、天使の殺し方は知りませんね」
「…そうですよね」
「死にたいのですか?」
「…もう限界なんです」
「限界…ですか?」
「独りで頑張ることに…疲れました」
「………………」
「(下界に来て随分経つけど、未だに呪いは解けないまま。運命の相手もわからない。この先もずっと呪いに怯えて過ごすくらいなら…いっそのこと何もかも諦めて死ぬのもいいかもしれない。)」
「だから…自分を殺して死ぬ、ですか」
「レイジさんは…三つ子の母親のことをご存知ですか?」
「ええ。でも詳しいことは知りませんよ。風の噂で、彼女があの兄弟に惨殺されたと聞きました」
「…そうですか。」
「そんなに死にたいなら、方法がひとつだけあります」
「…本当ですか?」
「哀れな貴女に免じて、教えて差し上げましょうか。さあ、手を出して」
手を出すとレイジさんはロケットペンダントを掌に乗せてくれた。
「これ、は?」
「そうですね。お守りだとでも言っておきましょう。このロケットの中に入ってる薬物…それを飲めばいい」
「なんでこんなものをレイジさんが?」
「個人的な趣味、とでも言いますか。私の研究の成果ですよ。」
「天使にも効き目はありますか?」
「貴女の中にまだ天使の血が残っているなら効き目は自ずと表れるでしょう」
「ありがとう…ございます。でも…どうして?」
「さあ、気まぐれだとでも思って下さい」
「(これを飲めば…私は死ねる。ライトくんと繋がってしまった時から覚悟はしていた。彼に絆されてしまった私は…もう天界には帰れない。)」
それに死んだら…ライトくんがコーデリアを想う気持ちに苛まれることも全部無くなる。私はレイジさんから貰ったロケットペンダントを握りしめた。
◇◆◇
【庭園】
「(あ…あの薔薇。まだ枯れてなかったんだ。名前は確か"ティヴィラ"。珍しい2色の色を持つ不思議な薔薇。)」
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