第2章 鉢屋三郎
昨日、喜八郎と粘り強くやりたくないと言っても、決まった事だからと結局強制的に話を終わらされた
鉢屋三郎先輩…変装名人とくのたまの方でも名が上がるほどの人だからとても優秀な人なんだろうなぁ…普段は不破雷蔵先輩という人に変装してるって他の子達は言ってたけど…その不破先輩もわかんないからなぁ私…
『…』
ピタリとくのたま教室の方へと進めていた足を止め、周りを警戒する
先程から極わずかだけど感じる人の気配と刺さる視線…もしかして、曲者?
『(小松田さんなら通しかねないし、倒したほうがいい、よね)』
食堂の時から感じていた視線をどう切ろうとしても離せないのはこの人が結構なやり手だからなのか…わからないけど、もしこの学園に危害を加えようものなら、今ここで捕まえたほうが得策だ
『(気配は屋根裏…いける)』
懐から手裏剣を出そうと手を伸ばしたその時、
パシっと誰かに後ろから手首を掴まれてしまう。え、き、喜八郎じゃない…気配も先生じゃないし、でも殺気も何も感じないから生徒…?
『あ、あの…ど、どなたですか…』
「おっと…すまんな、私は鉢屋三郎。屋根裏にいたのも私だ。学園長の突然の思いつきで君をひと目見てみたくてな、つけさせてもらった」
『ひ、あ…あの…まず、手、を…離していただけると、ありがたいのです、が…』
鉢「あぁ…これは失礼」
『……っ』
手を離された瞬間、軽く距離を取り顔を背ける
パッと簡単に手をはなしてくれたのはいいけれど、怖くて相手の顔が見えない……むり、心臓吐くかもしれない
鉢「おや、こちらを見てはくれないのか?」
『も、うしわけないですが、男の方に免疫がないので、怖くて…』
今すぐ教室に帰りたい…シナ先生、喜八郎助けて…
鉢「男が苦手なのは本当のようだな。…よし、少しでも慣らす為に少し学園から離れた遠い山に行こうか」
『な、なぜですか…?』
鉢「少しでも学園から離れている方が、周りに邪魔もされないからな。君も克服するためだ。少しはこちらの条件はのんでもらうぞ」
『は、はい…』
鉢「いい子だ…じゃあ行こうか」
『はい…』
うぅ…今すぐ隣に女の子か先生か喜八郎いてほしい…悪い人ではないのはわかるけどやっぱり怖い