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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第3章 目は口ほどに物を言う【ラキオ】


「ラキオ」
ラキオの個室の扉をノックする。
数秒して、中から開けてくれた。
「なンの用だい?一昨日も言ったけれど、僕は忙しいンだ」
「そうは見えないが。少し話があるんだ」
「はン、まあ会話が成立するだけこの船の人員じゃ君はマシな方だ。そこのチェアにかけなよ。この僕が時間を割いて聞いてあげるンだ、相当価値のある話なンだろうね?」
「じゃあ、単刀直入に言わせてもらおう」
この件は、このループで決着をつけたい。
そのためにも、ラキオには本音を吐いてもらう!
「ラキオ、君はツバサに好意を抱いているか?」
数秒の沈黙。そこまでインパクトのある言葉でもない気がするが、ラキオは固まってしまった。
だんだんとラキオの頬が朱に染まる。図星だっただろうか。
「そ、そんなこと有り得ないだろう!だいたい、君は僕の性別をなんだと思っているンだい?僕は汎だ。沙明のように異性を性的な目で見ることなンてない、人類において完璧とも言える存在だ!それなのに、君は僕がツバサに好意を抱いていると言った。勘違いも甚だしいね!もちろん根拠はあるンだろうね?あっても僕が納得できるとは思えないけどね!」
「ああ、もちろんある」
ラキオ、君はこのループにおいてツバサに対する好意を露わにしていると言っても過言ではない。
明らかに怪しい行動。ツバサに興味を抱いているという本音。真っ先にツバサに人間判定をしにいく立ち回り。そして、船の中で一番関わりが深いのはツバサだという事実。
これらをラキオに突きつけた。
「ラキオ、君は魂の問題では汎だと言ったね。でも、君の体は汎化処置を受けていない。肉体的にはまだ男性だ。ツバサに好意を抱くのもおかしくはないだろう。君の船内での行動を見ていると、ツバサが好きだと言っているようなものだ」
まだ反論する気なら、力づくで押し返す。
先程の発言だって、素直になれなかっただけだろう。
ラキオは言葉に表せないだけで、誰よりもツバサのことを想っているのだ。
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