第41章 青き春はドレンテにひび割れて【玉折】
高専の石段で項垂れていると、コツコツと近づいてくる夜蛾の気配に気づいた。
「星也から話は聞いた。なぜ追わなかった?」
「……それ……聞きます?」
理由なんて、言わなくても分かるだろ。
その意図は通じたようで、夜蛾は「いや、いい」と謝罪の言葉を口にした。
「……先生。俺、強いよね?」
「あぁ。生意気にもな」
そうだ。自分は強い。
“最強”――その自負も自覚もある。
でも――……。
「……俺だけ強くてもダメらしいよ」
――俺が救えるのは、他人に救われる準備があるヤツだけだ。
傑……オマエがやるっていうなら、俺もやってやる。
俺のやり方で、この世界を――……呪術界を変えてやる。
決意に拳を握りしめた五条は、その場に夜蛾を残し、昴流のもとへ向かった。
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