第1章 小さな店
「はい、いつものです」
「あぁ」
「ちゃーん!」
「はーい、今行きます!」
別の客に呼ばれ離れた席へ移動する。
また、渡しそびれた。
左のポケットに入っている細長く硬い紙の材質でできている箱に手を伸ばす。
「チッ…」
砂糖を一ついれ、紅茶を一口飲む。
そして盛り付けられたスコーンを齧り、ため息をつく。
何でこう、奥手になるのか…。
ただアクセサリーを渡すだけなのに3回も失敗している。
「あはははっ!本当ですか?大変ですね」
別の客と話しているのを見るとイライラする。
別に俺の女でもないのに…。
「クソ…っ」
紅茶を一気に飲み干し代金を置いて席を立つ。
「リヴァイさん帰っちゃうんですか?」
「…あぁ、また来る」
「はい!ありがとうございました!」
俺が来るのは2日置き。
絶対渡してやる。