第1章 小さな店
「もう一ついいか?」
「はい」
「兄はなんで調査兵団に入ったんだ?」
「あー…あの人は小さい頃から正義感が強くて、こんな世界なのは巨人が悪いんだーって言ったりしてて…ケンカもしょっちゅうでしたし、何よりも壁の外へ出たいって気持ちが強かったんでしょうね」
困ったような笑顔でエレンを見ている。
それに気づいたらしく真っ赤にして紅茶を口にした。
巨人をぶっ殺したいとか駆逐するだとか言ってる奴が一丁前に恋なんかしてやがる。
わかりやすすぎんだよ…
「だから、エレンを見てると小さい頃の兄を見ているようで心配なんです。でもかわいいですよね」
「かわいいか…?」
「小さい頃から見ているからですかね…ミカサもアルミンもかわいいんです。兵士になったけどまだ年齢的には子供ですからリヴァイさんお願いしますね」
「もちろんだ」
は安心したような笑顔を浮かべた。
「さん、オレら帰りますね!お金置いと来ます」
「はーい。ありがとうございました。また来てね!」
笑顔で手を振りながら3人を見送り、また俺の前で作業を始めた。
「そういえば、酒はどんな物を飲む?」
「結構何でもイケるんですよ」
照れたように笑う。
「リヴァイさんは?」
「俺も結構イケる」
「今度一緒に飲めるといいな」
「そうだな」
嬉しい言葉に思わず今度酒を持ってくると伝えて店を出た。
左手には他の班員5人分のケーキ、右手に掃除道具を持ち兵舎へ足を進めた。