第15章 高嶺の藤に手を伸ばす$ 炭治郎裏夢
「ご馳走さまです」
両手を合わせて一礼し、箸を置く。
「那岐さん……」
「何ですか?炭治郎君」
礼儀正しい所作だなぁと感心していた那岐だったが、呼び止められて居住まいを正した。
「あの……俺じゃダメですか?」
「えっと…?」
「そんなに悩まれるんでしょう?だったら俺と……」
「炭治郎君…ごめんなさい。あの…」
「俺、那岐さんが好きです」
那岐の目を見据え、俺は彼女の両手を握る。
「炭治郎君?」
「那岐さんが好きです。遊郭で合同任務にあたった時から……ずっと…!!///」
「炭治郎君。身内に鬼が居る貴方には私もちゃんと答えることにするわね」
「え?」
「私も鬼なの」
「え?那岐さんが!?」
気付かなかった。
だって那岐さんからは血の匂いはしないし、禰󠄀豆子や珠世さんの気配とも違うから。
でも、それが彼女への違和感の正体だったのかもしれない。