第24章 凄惨と合流
「な、何ですか?!俺も行かないと!貴女の壁に」
「行かないで!戦闘には私が向かいます!貴方はこの方を安全な場所に移動させてお薬を飲ませ続けて下さい!私の壁になるくらいなら……どうかこの方を助けて。私のために圭太さんにも貴方にもいなくなって欲しくないの!早く!」
悲痛な叫びが剣士にようやく届いたようで、鬼舞辻に向けられていた戦意はなりを潜め地面から上体を起こして更紗から薬を受け取った。
「いいですか?絶対死なないで下さい。治療薬も置いていくので助けられる人がいればこれで応急処置を。あと……足首掴んでごめんなさい」
「は、はい。月神さんもお気を付けて」
心配そうに見つめてくる剣士に更紗は笑顔を返し、剣士を白銀の膜で覆って圭太を預ける。
そして地面に転がしていた2色に彩られる日輪刀を握りしめ足を踏み出すが、今度は更紗の腕が誰かに掴まれた。
「何か分からないことでも……っ?!実弥さ……むぐっ」
「でけぇ声出すなァ。お前、何か胡蝶から渡されてねェか?塵屑野郎の不意をつけるようなもんをよォ」
いきなり現れた実弥に口元を押さえられているので返事は出来ないが、不意をつくものと言うものに思い当たる節があったので鞄に手を突っ込んだ。