第23章 上弦と力
杏寿郎が案を受け入れたことにより、更紗が最善だと思い下した判断で人の生き死にが左右されることとなる。
柱としての判断はこれ程までに重いのだと改めて実感した更紗は瞼を1度キュッと閉じ、そして猗窩座へと向き直った。
「皆さん、私に命をお預けください。誰一人欠けさせないと約束します」
今となってはごくありふれた変化だが、更紗が床を蹴りつける瞬間に瞳の色が薄くなり、両手で握られた日輪刀は紫の炎を迸らせながら赫く染まった。
その後を赫い日輪刀に橙の炎を迸らせた杏寿郎が続き、猗窩座の正面で刃を振るう更紗を援護するように背後へと回る。
「炭治郎、俺たちも続くぞ!ここで必ずあの鬼を滅する」
「はい!」
そうして義勇は赫刀に水を……炭治郎は火を纏わせ、先ほどまでの苦しげな表情を浮かべていたとは思えない狂気に満ちた笑顔を浮かべる猗窩座の左右へと詰め寄った。
全員の姿が更紗の瞳に映されると同時に銀色の膜がそれぞれの体を覆い、全員が上弦の鬼とほぼ同等の再生能力が与えられる。
「ありがとうございます!ある程度の傷は治しますが、輪切りにされるのは控えてください!」