第21章 秘密と葛藤
食事処が売上に喜び、天元のお財布に閑古鳥が鳴いた日の夕刻、更紗と杏寿郎は無事に自分たちの屋敷へと到着した。
数人の剣士たちは杏寿郎に与えられていた課題を終わらせていたようで、母屋の居間にて生ける屍と化していたのだが、その中になんとも懐かしい顔があった。
「炭治郎さん!お久しぶりです!天元君の柱稽古以来なので、1ヶ月ほどぶりですね!」
「更紗、煉獄さん!お久しぶりです!昨日、宿に泊まったから本部に煉獄さんや柱が呼ばれてるって知らなくて、留守にしてるって聞いて驚きました!……あれ、更紗の隊服……柱?」
炭治郎の目に映ったのは更紗の隊服。
それは杏寿郎の着用しているものと同じ金色の釦があしらわれており、柱だけが着用を許された隊服だ。
まだ全剣士たちに情報が共有されていないのか、炭治郎含め居間に居る剣士たちの目がキョトンとしている。
「そうだ!今日から更紗は柱となった!君たち継子には教えようと思ったのだが、更紗に柱になってくれと打診したのも2日前でな!いっその事、帰ってきた時に驚かせてやろうと思ったのだ!」
「そうだったんですか?!いや、もう驚き過ぎて言葉が……すごいな、更紗!今日から柱かぁ、同じ継子じゃなくなったのは寂しいけど、俺すごく嬉しいよ!」