第20章 柱稽古とお館様
1度頭を下げて木刀を構え直すが、無一郎はそれと反対の行動をとった。
「あの、無一郎さん……続きは?」
「続きはもうしなくて大丈夫だよ、合格だから。俺の攻撃全部受けて治癒もして笑顔で考え事するんだもん。合格出さなきゃただの意地悪になっちゃうからね」
先ほどまでの黒い笑みではない年相応の少年の笑顔で言ったのだから、冗談ではなく本当に合格なのだろう。
だがまだここに来て2日なので更紗自身、実感が湧かずに呆然としている。
「こんなに早く合格をいただけたのは初めてなので……少し驚いています。本当によろしいのですか?次へ進んで」
「うん、言ったこと全部出来てるから進んで大丈夫。言っとくけど手を抜いたとかおまけしたとかないから、変に考えすぎないでよ?さっきも言ったけど柱全員が更紗ちゃんの力を試してる。それは俺も一緒だったから」
そこまで言って貰えると素直に嬉しい。
更紗自身の特異能力も成長の要因だが、それよりもここまで育ててくれた杏寿郎や天元、柱稽古で粘り強く教えてくれた柱たちに感謝の念しかない。
「知らず知らずでしたが、ここまで皆さんが考え与えてくださった稽古をこなせて嬉しい気持ちでいっぱいです。少し自分の力を信じてみようと思います」