第10章 体育祭
『虹村先輩ですか…はぁ…』
「なぁーに溜め息ついてんだアホ」
『灰崎見てないんですけど、踊ってるの確認しました?』
「あー、ダンスはサボってるみてーだな」
『うわーあたしもサボりたい』
「それで赤司に怒られるのは誰だ」
『あーあー、キコエナイナー、ドウシテカナー』
「苗字ってアホだよな」
『なんですって』
「聞こえてんじゃねーかよ」
『キコエマセン』
そもそも2年生とペアになるほど長かったか?と今までのメンバーを振り返る
もう両手でも足りないくらいの人数と踊ってきた。いくらなんでもそろそろ終わりにして欲しいと考えていると、彼がまだ話題を振ってくる
「でもお前ちゃんと練習してただろ?」
『え、あ、はい。知ってたんですか?』
「部活中にあんだけ騒いでたら目につくわアホ」
騒いでたか?と練習風景を思い出す。確かに最初のペアが征十郎だからと彼を相手にひたすら練習しまくった覚えはある
途中から灰崎が来て征十郎の身長が同じくらいだとか、あたしのダンスセンスについて言って来た
それを緑間が止めようとして大惨事だったことを思い出し、なんだか頭が痛くなる
『…騒いでましたね』
「まあ仲が良いことは悪いことじゃねえよ」
曲が鳴り終わると、一斉に手を離しバラバラに生徒たちが退場していく
虹村先輩と一緒に赤組の応援席まで戻ってくると、軽く肩を叩かれた
「リレー、頑張れよ」
『…え?』
「オレもリレー出るから。じゃあな」
そう言って2年生のところに戻っていく虹村先輩。いざリレーと言われると緊張で高鳴る心臓
身体の全てが心臓になったみたいに、おかしくなった