第55章 全中予選
「あのポイントガード、#NAME1の知り合いかい?」
『うん、たまに会うくらいだけど』
「ああ、見たことあると思っていたんだ」
『会ったことあるっけ』
「一方的に見ただけだよ。バレンタインの時に」
『あー勝手についてきたやつね』
近くに座っているさつきの肩が跳ねる
別に攻めているつもりはないが嫌味のようになってしまったかもしれない
暗い中だったのによく覚えているなあと、征十郎の次に出来るウチのポイントガードと和成の試合運びを見るが、和成の方が上手だ
ポイントガード勝負だけで言えば負けるかもしれないが、今回のスタメンには最強の矛と盾と遠距離砲がいる
『まあ、勝つだろうな…』
分かり切っている答えをぽつり呟く
隣に座っている彼に聞こえているのかは分からないが、何も反応がないあたり聞こえていないんだろう
大輝へのパスをカットした和成がそのままドリブルを始め味方を鼓舞する
盛り上げ上手で味方の士気を高めて、視野も広く技術もある彼のプレイはタイプは全然違うものの征十郎と似ている気がした
征十郎も褒めることやパスで味方の士気を上げるし、視野も広く技術もある
ただ技術の高さとポテンシャルが明らかに違うとこういう時身内を贔屓してしまうのは良くないかもなと考える
「選手交代はいらなそうだね」
『後半戦、ダメそうだったら変えよっか』
「出すなら誰だい?」
『えー…10番の子』
「…どうしてそう名前が覚えられないんだ」
『ごめんってーなんか脳に異常あるのかなー』
どちらかと言うと背番号と名前が一致していないだけな気がすると、1度首を傾げてから今考えることではないと試合に集中する
最終的に帝光はこの試合もダブルスコアで勝利を収めた