第21章 黄色と紫と一緒
そこで紫原がいつもより歩くのが遅いことに気づく
もしかして、スピード合わせてくれているのではないか
『…ありがと』
「えー?なんのはなしー?」
『なんでもなーい』
元々帝光中まで遠くない場所で会ったせいか目的地にはすぐに着いて、クラスの確認を急ぐ
登校時間には少し早かったせいか人は少ないが、学年の人数が多すぎて探しにくい
「あー、名前ちんオレと同じクラスだ」
『え』
「5組のところ、名前ちんの名前、書いてあるでしょー?」
『うん。書いてあるね』
「赤ちん達の名前、書いてないねー」
『…そっか』
聞いてまず今年の体育祭は勝てないことを悟る
1番最初に出てくるのがそれなのかと自分にツッコミながらも、まだ決まったわけではない。勝てる可能性だってあると半年ぐらい先のことを考える
「…名前ちん、赤ちんと離れて寂しいの?」
『まあずっと一緒だったからなー』
小学校から中学1年生まで同じクラスだったのはたまたまなのか、なにか裏で力が働いていたのか
ただ今回クラスが分かれたということは力は働いていなかったんだろう
『…あ』
「どーしたのー?」
『いや、何でもない』
紫原が一緒だということは涼太とも一緒のクラスだとふと気づく
おまじないが効いたかどうかは知らないが、そういうことにしておこう
ちなみに教室に着くと涼太と同じクラスになったことにほとんどの女子が喜んでいたことは説明するまでもない