第13章 彼の誕生日と
「なー名前ちゃん」
『ん?』
「オレが名前ちゃんって呼んでんだからさ、名前ちゃんもオレのこと名前で呼んでくれよ」
『…おん?』
「出来ねえ?」
出来ないわけではない別に呼び方を変えるだけなのだからと「和成」と出会う前から知っている彼の名前を呼ぶ
高尾は嬉しそうに笑って、瞬きをした次の瞬間に彼の顔が耳元に、腕が背中に回っていた
「名前ちゃん」
『ん』
「マジで反則だわ」
『…名前呼んだだけだけどな』
「まーま」
先ほどのように彼の身長は征十郎と同じくらいかな、なんて考えているとすぐに腕を離される
高尾、もとい和成の顔は少し赤い。それが寒さのせいなのか何のせいかなんて知ろうとしなくて良い
「とりあえず、バス停まで送るわ」
『え、ありがとう』
その後、和成がバス停まで送ってくれたので恐らく年内会うのは最後だろうと「良いお年を」と言って別れた
気温は下がったが、マジバからショッピングモールの時に比べあったかく感じたのはマフラーのおかげだと信じている