第13章 彼の誕生日と
苗字side
マジバから出ると雲行きが怪しくなっていることに気が付く
雨とか降らないといいなーと思ってショッピングモールへ向かっていると、目の前を白いものがチラつく
「おっ雪じゃん!」
『…この時期に降るのはすごいレアじゃない?』
「かもなー、まあこれじゃあ積もらねえか」
高尾の言う通り振ってきている雪は積もることはない軽く、地面に落ちてもすぐに溶けてしまう。だがそれほど寒いということだけは分かる
「へっくしゅ!うっあ、さみー」
『ん、確かに寒いかも』
「あー早く行こうぜ名前ちゃん!」
『でも寒くて動けないよ』
「あー、だな」
道にいる子供は雪に喜んでいる。あたしも積もったら喜んで雪合戦をしていたかもしれないが、積もることのない雪はなんとも言えない
これ以上積もって電車やバスが止まらなければいいななんて考えながら、震える手を上着のポッケに突っ込んで少し歩き辿り着いた所は高尾の妹に出会ったショッピングモールだ
「は~あったけ~」
『生き返るねえ』
入ってすぐの案内板を見ると期間限定の冬物催事場が出ているとでかでか書かれていたんおで、せっかくだしと見に行くと手袋など小物からコートなどいろいろなものが並んでおり、急に寒くなったせいか人でにぎわっている
あたしも冬物何か買うかと考え見始める。手が1番冷たいが手袋をすると携帯をいじりにくくなるし耳当てはイヤホンがつけれなくなってしまう
すると消去法で1つ浮かんで来た
『マフラー買おうかな』
「お、いいんじゃね!持ってねえならありっしょ!」
『あれ、自分用のつもりだったんだけど』
「いやこれから寒くなってくるし、ちょうどいんじゃねー?って」
『…確かに。マフラーはまだあげたことないかも』
彼がマフラーをしている姿は今のところ見たことがない気がする。去年までは小学校で規定の上着を着せられていたし、移動も車が多かったからだと思う
マフラーのコーナーに行くと色の種類が何色あるんだというくらい綺麗なグラデーションになるよう陳列されていた