第13章 彼の誕生日と
『なんで征十郎のブレザーがあたしの肩に』
『風邪をひかれたら大変だからね」
『いや征十郎の方が風邪ひかれたら大変だよね、副主将だし』
「気にすることないよ」
『気にするよ、ありがとう』
はい。と彼に真っ白なブレザーを返すと「ありがとう」と受け取りながらお礼を言う征十郎
…いやお礼言う筈なのあたしじゃない?さすがに冬になってきたから寒かっただろうと考える
ああ冬休みと言えばウィンターカップだけじゃなく、もうすぐ征十郎の誕生日だと気がついて少し考えていると隣の彼が荷物をまとめ始める
『あれ、征十郎なんで帰る準備してんの?』
「名前、今日は5時間だけだよ。だから数学の時間に先生が居なかったんじゃないか」
すっかり忘れていたあたしに彼は優しく教えてくれる。ほかにも忘れていた人はいたらしく「6時間目ないのラッキー!」と喜んでいる人がいたのに安心する
その分部活の時間が増えるのだがあたしにとっては楽しい時間だ。荷物をまとめ、彼と部室に向かった
体育館に辿り着くと既に人が集まってきている。挨拶を澄ませ選手個人ごとのノートを取りに行こうとすると、遠くでさつきが手を振っている
「名前ちゃん!」
『さつき、どーしたの?』
「冬休みの予定をコピーして来いってコーチと虹村先輩に頼まれて、一緒に行かない?」
『量多いもんね、行こうか』
最初からコーチが人数分用意すればいいのにと思うが、心の中に留めて大量にいる部員分をコピーし、体育館に戻ろうと歩き始める
そのついでに1軍メンバーのノートを取りに寄ると、さつきが先ほどまでの雑談と違った話題を投げてきた