第75章 祝福の白は青と交わる$(冨岡裏)
「祝勝会のお話はカナヲからお聞きました。ただこちらでは、負傷者の治療を優先していますので……」
「それはいいとして、アオイちゃん顔色悪くない?」
「お前ちゃんと飯食ってんのか!?」
「食べてますよ……」
ガシッと伊之助に肩を掴まれる。
「後で美味いもん採ってきてやるからな!」
「美味いもん?」
「秋は色んなもんが山に生えるんだ!!食ったら必ず元気になる!!」
「そうですか、楽しみです」
ようやく笑顔を見せたアオイにほっと胸を撫で下ろす善逸とカナヲ。
伊之助も案外良い奴だな、なんて呑気に考えてから善逸は気付いた。
待って、あの伊之助が女の子に気を使うとかどういう変化!?
善逸はアオイと話す伊之助の心音に耳を研ぎ澄ますが、特に変化は見られなかった。
だが、それとは逆にアオイの方が心音が早まっている事に気付く。
コレって、ひょっとしたら……ひょっとする?
「もん逸、付き合え!!」
「はぁっ!?」
告白するんなら、俺じゃなくてアオイちゃんにでしょっ!!と心の中で突っ込んだら。
「これから山で山菜採るぞ!!」
「これからって、もうじき日暮れなんだけど!?」
叫ぶ善逸の首根っこを引っ張って、伊之助は蝶屋敷の裏手の山へと駆けて行く。