第72章 乞い願う、光を求めて
「炭治郎!!お前は……鬼を憎んでたんじゃないのか!?俺みたいに、鬼を喰わなくても、お前なら頸を斬れただろ!!」
玄弥も善逸に負けじと叫ぶ。
彼とて刀鍛冶の里で炭治郎と共に上弦に立ち向かったのである。
彼のひたむきさを知らぬ仲では無いのである。
「しっかりしろ、権八郎!!おい!ちゃんと返事しやがれ!炭治郎!!」
善逸が、伊之助が、玄弥が三人とも炭治郎を呼んでいる。
けれども炭治郎は反応を示さない。
自我がないのか、それとも……
「炭治郎……?何故、鬼に堕ちた……?お前の決意はそんなものだったのか!?」
動揺を隠せなかったのは、何も彼の同期たちだけでは無い。
『義勇さん、義勇さん!!』
『義勇さん!ざるそば早食い対決しませんか?』
『義勇さんは、錆兎に託されたものを繋いでいかないんですか?』
「炭治郎!!お前がかけてくれた言葉で、俺は今この場にいる!柱の自覚も度胸もなかった俺にお前は言った!!『託された想いを繋いでいかないのか』と!」