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鬼滅の刃R18 藤の花嫁(冨岡夢)

第72章 乞い願う、光を求めて


藤の花を見ると、昔の幻影を見るのだ。


まるで白昼夢のような、それでいて胸の奥を掴まれるような、そんな何かを藤の花に感じていた。


記憶を手繰ろうにも、いつも霞んでしまう光景に現実味が湧くこともなく、いつしか忘れてしまっていた。


猗窩座が藤の花の匂いを付けたまま、無限城に着いた時は激昂しかけた。


藤の花を私から奪う者は……誰であろうと許さない!そう思った。


だが、違う。


奪われたのではない、私は自ら手放した。


「舞山様!!」

「……」


この手を伸ばすことで、彼女がより闇に染まるのではないかと、不安になったのだ。


「かしこみかしこみ、もう申す。この者を浄化し、あるべき姿へ戻し給え」


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