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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第71章 向かう白、揺蕩う藤色


父上が喜ぶのは俺の帰還や、柱への昇進ではないのだから……


でも、そんな折に白藤が父上の頬を引っぱたいた。


何をしているのかと身重の体で喝を入れてくれたのだ。


あの時。


鬼の子を宿して一番辛かったのは、彼女であったはずなのに……


彼女はあの日決死の覚悟で我が家に来たのだ。


鬼の子が生まれるならば、斬ってくれと父に頼んできた。


「竈門少年。俺はあの日から生き直すことにしたんだ。出来なかったこと、やりたいこと。せっかく長らえた命だ。藤姫殿にも礼を尽くしたい、守りたい……と」



そう、叶うならば。

俺とて君の横で笑いたかった。



だが、彼女が選んだのは俺では無い。

それがどうしようもなく歯がゆくて、切なくて……



それを考えると、胸の奥がキリキリと痛むのだ。


この気持ちを、彼女に伝えるつもりは無い。


それでいい。


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