第70章 咲くは朱なれど散るは白
「まさか、鬼殺隊と肩を並べるとはな……良いだろう。先にヤツを始末するなら、こちらとしても都合がいい」
「……よもやよもやだ」
まさか、鬼舞辻と手を組むとは……
「煉獄、構えろ!!正面にまた黒い靄が来るぞ!!お前の炎で蹴散らせ!」
「心得た!炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄!!」
予想外の事態に困惑していた煉獄だったが、宇髄の指示で技を繰り出す。
宇髄の言う黒い靄は全く見えないが、確かに粘つくような居心地の悪い風が吹いてくるのは肌で感じる。
そういえば、父が柱であった時に一度だけ、炎の呼吸は昔から浄化に特化しているのだと聞かされたことがあった。
火は不浄を祓うのだと。
篝火が神事にも使われるのはそのためだと。
『いいか、杏寿郎。
炎の呼吸は日の呼吸より後に出来たが、それは伝承者を途切れさせない為だ。
我が一族だけでも、常に産屋敷にお仕えし、歴代の当主の穢れを払う手助けをしなければならないのだ』
父上、今がその時なのだろうか。