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鬼滅の刃R18 藤の花嫁(冨岡夢)

第70章 咲くは朱なれど散るは白


「白藤!!」



ザシュッ。



「……?」



覚悟を決め、目を閉じ、そのまま月の呼吸を受け入れようとしていた白藤だったが、衝撃が来ないのを不思議に思い、瞼を薄く開く。


いつの間に間合いに入り込んだのか、義勇が月の呼吸を凪で受け流している姿を見とめて、彼女は呼吸が止まりそうになった。


いつ、死んでも後悔しないと思っていた。


巌勝や、槇寿郎が、自分から離れていって、もう、誰かを好きになることも、思いを寄せることも無いと思ってから、随分と時が経った。


固く閉ざされた心が、彼のことで一杯になって、いつの間にか、それが心地よいものになっていて。


今の義勇の技量では巌勝には及ばない。


でも、声が喉に根を生やしたように引っかかって、思うように出てこない。


「……!!………!」


「大人しく、してろォ。白藤」

「不死川、さん……」

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