第70章 咲くは朱なれど散るは白
安易に刺激してはいけない。
キインッ。
不死川の刀が弾かれる。
おいおい、ただの紙切れじゃねぇってことか?
それでも刀を手放さないよう、動くのはやはり柱と言うべきだろう。
不死川の身体が引きちぎられていないことに安堵しながら、白藤は一つ息をつく。
「ちっ!!」
一方で、宇髄は舌打ちする。
攻撃としては有効打を狙える機会だったし、爆薬も仕込んで、術者の集中力を逸らせると考えていたのに……
術者を直接叩くことが難しい今、何が最優先か。
ふと、宇髄の視線が捉えたのは、人型の紙片。
先程、白藤が『式』と呼んだ紙片は円を描く様に旋回している。
数は三枚に増えているが、術者の思うままに動くというのが厄介だ。
先程も不死川の斬撃を弾いていたし、ただの紙片ではないことは明らかである。