第14章 ❄️ 知りたい
「お疲れさん!!緑谷少年以外は大きな怪我もなし!しかし真摯に取り組んだ!!初めての訓練にしちゃ皆上出来だったぜ!」
そう締めくくりの言葉を紡ぎ、オールマイトはくるりと背を向ける。
「それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば!着替えて教室にお戻り!!」
バビューン!という効果音をつけてすごい勢いで去って行ってしまった。
残された生徒たちも更衣室へと動き出す。
雪は爆豪の姿を見つけると声をかけようとするが。
他の何人かの生徒に話しかけられ、それははばかられてしまった。
「零ちゃん凄いね!私と尾白くんは全く歯が立たなかったのに~!」
両手をぐーにして胸の前(?)で激しく上下させている葉隠。
『ありがと、でも2人の映像を見てたからこそ対策できたんだよ。』
「でも個性2つ持ちだったなんて、なんか見直しちゃったな。」
葉隠とペアだった尾白も横に並ぶ。
「八百万とのバトルも凄かったよな!」
後ろから聞こえるのは砂糖の声。
「うんうん!びゅーんって雪飛ばしてさー!」
砂糖の隣に並ぶ芦戸も同意する。
『ありがとー。』
素直に喜ぶ雪は疲労で重たい体のことを忘れてしまう。
その集団を、少し後ろから見ているのは切島と上鳴。
「雪のやつ、すっかり人気者だな。」
「雪、かわいいしな。」
''かわいい''
上鳴のその言葉にドキッとする切島。
少し暗いモニタールームで、映像の光に照らされる雪の横顔を思い出す。
が、ぶんぶんっと首を振り、んんっと咳払いをする。
「あいつ人当たりいいからじゃね?」
たしかにあるわ~と返し上鳴は頭の後ろで腕を組む。
別の場所から、背の低い峰田は親指と人差し指で作ったV字で顎を挟み、目を細める。
「雪…履いてるのか?履いてないのか?………」