第4章 俺が想いを伝えた時の話
「…そんなに嫌?」
「う"っ。(コレ、わざとやってんのか!?)」
もしこれが計算では無いのなら、相当危険だ。いや、計算であったとしたら策士にも程がある。
俺の服の襟元をギュッと握りながら上目遣いで不安気な顔をするに俺は勝てそうに無い。
「…わ、分かった、分かったよ。入るよ。」
「…やったぁっ!!!」
そんなこんなで無理くり連れてこられた露天風呂は、―カポーん。と間抜けな音が響きそうな位、空いていた。
「(…あぁもう!何でこんな自然なんだよ!!)」
「………良かった。2人きりだねぇ。」
服を脱いで浴室で合流したのは良いが、は何故こんなにも平気そうなのだろうか。
「(…意識するな、なるべく…なるべ…。)」
「…………玄弥君?」
「…ほ、本当…何考えてんだよお前は…!!」
「えっと。一緒に…温泉浸かりたいと思ってる。」
そりゃそうだ、温泉に浸かりたいと思っているからココにいるんだが。手ぬぐい1枚で俺の目の前に立って小首を傾げる必要は無いだろう。
「…そういう事じゃねぇんだよ、アホンダラ…。」
「…………?」
相手が俺じゃなかったら、コイツは間違いなく色々な意味で食われていたに違いない。
そんな俺の心境などお構い無しでご機嫌なは意気揚々と俺を連れて湯に浸かった。