第4章 …ねぇ。もしかして、泣いてる?
私も、言いたい事がある。彼らに伝えたい事がある。
私が作った曲を歌うと決めてくれて、ありがとう。
無理な練習スケジュールに付き合ってくれて、ありがとう。
突然現れた、こんな私について来てくれて、ありがとう。
でも…今はまだ、口にはしない。
「おい龍。ありがとうとか助かったとか、そんなのは…全部終わった後でいいだろ」
楽が、私の気持ちを代弁するように言った。
そして…拳を体の前に突き出した。
「!」
それを見た龍之介が、自分の拳を 楽の拳の近くに出す。
だんだん事態が把握出来てきた。
『え…貴方達、こういう事するタイプだったん』
私が言い終える前に、まさかの天も、彼らに倣って拳を突き出したのだ。
まぁ、微笑ましくていいんですけどね。気合が入ってモチベーションが上がるなら 願っても無い。
「おい、何してんだよ」
『え?』
楽に呼ばれて、視線を落とすと。不自然に空いているスペース。明らかに、あと1人分の拳のスペースがあるのだ。
『…もしかして、私にも “ コレ ” に参加しろと?』
「…早くしろよ」
「出番が来ちゃうから早く!」
「ボクだって付き合ってるんだから。まさかキミが放棄するなんて事 許さないよ」
天、楽、龍之介の瞳がこちらを向いている。
私は、ごく自然に体が動いて…。その1人分の空いたスペースに、自分の拳を差し入れた。
コツン!
4人の拳がぶつかる。
「絶対、勝つぞ!」
リーダーの声が、控えめに響いた。
「…ふふ。なんだかんだ、貴方達良いチームねぇ」
「さぁ!次はいよいよチャレンジャーの登場です。
今年のチャレンジャーは……TRIGGERー!
曲名は…Black & White 」
彼らの、ブラックオアホワイトが始まる。