第4章 …ねぇ。もしかして、泣いてる?
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ついに、幕が、上がる。
「皆様…大変長らくお待たせ致しました…これより!
ブラックオアホワイトミュージックファンタジスタ 開幕でございます!」
司会者が声高々に、開幕を宣言する。その後ろには、名だたる出場者が並んでいる。
そして勿論TRIGGERも、そんなアイドル達と肩を並べて立っているのだった。
開会の儀はつつが無く終わり、TRIGGERは私が控えている袖幕へと帰って来た。
「あつ、」
『どうぞ』
小さく呟いた天に、すかさずハンドタオルを手渡す。他の2人も同様に。
「ありがとう」
そう。ステージは、本当に暑いのだ。特に重厚な衣装に身を包んだ彼らにとっては尚の事。
「さぁ!まず歌って頂くのは、前年優勝者の…」
司会者の声が、いちいち心臓に響く。
どうやら私は緊張しているようだ。そんな事に 今ようやく気付いた。
「あ、お前さては緊張してんな?」
『…悪いですか』
「な、なんだよ、急に素直だな…」
「ふふ、どうしてキミが緊張するのさ」
天がふわりと微笑んで、からかうように言った。
『…貴方達の頑張りを、一番近くで見ていたからですよ』
彼らから視線を外し、ステージへと向ける。
なんとなく、今の顔を見られるのは恥ずかしいと思ったから。
「…その通りだ。俺達は、自分達の努力と 君の協力のおかげでここに立ててる。君には本当に、助けられたんだ。
ありがとう」
龍之介は 私とは正反対で、照れなどは一切見せる事なく。真っ直ぐ瞳をこちらに向けて感謝の意を述べた。