第59章 凄く綺麗ですね!
「ナギ、そろそろ中に入れるみたいだよ!早くポップコーン買わないと!」
「YES!予告編の1秒だって見逃すわけにはいきません。急ぎましょう。
ではレディ。またお目にかかりましょう。心配などいりませんよ。ワタシは運命を決める神に愛されているのです。きっと2人は再び巡り会」
「そんな運命は、神が許しても俺が許さねぇからな?」
2人は、挨拶をして私達の元から離れようとした。私は、そんな陸の腕を掴む。
「??
中崎さん?」
『あ…えっと、ごめんなさい。最後に、どうしても伝えたくて…』
どうしたら伝わる?私が貴方に感謝していること。楽とナギに怪しまれず、陸にだけこの想いを伝えるには どうすればいい?
伝わらないかもしれないが…
感謝の気持ちに、真実の言葉を添えて。
『私、IDOLiSH7のファンです』
「!!」
『貴方達の歌が大好きです。本当に、力をもらってるんです。歌をうたってくれて、ありがとう。
私、皆さんを いつも応援しています。
近くもないですけど、そんなに遠くもない場所から…』
「近くも…遠くもない…。あははっ、そうですよね!
ありがとうございます!中崎さんに、そんなふうに言ってもらえるなんて すっごく嬉しいです!
オレ達は、これからも歌い続けます。他の 魅力的なアイドルグループに、負けないように!」
私の気持ちが彼に伝わったかは、定かでない。
陸の口から出たのは、紛れも無い宣言だった。自分達は、TRIGGERにも負けない存在になるという。
私達は、固い握手を交わした。その握手は言うまでもなく、アイドルとファンのそれではなかった。
そうして私達は別れたのだが、最後にナギが謎の言葉を残していった。
“ ここの映画館のポップコーンは絶品だ。だから必ずLサイズを2つは購入する事を勧める ”
という内容だった。
「ふふ」
「リク、とても嬉しそうですね」
「あ、う、うん!こんな所で八乙女さんに会えると思わなかったし、それに 中崎さん、綺麗だったね!」
「…YES.
シークレットを多く抱える女性は、いつだって美しいものですよ」