第11章 露呈
割りと有名な将校の動向というのは耳に入ってきたりする。
それは何処の島での活躍話や、その将校を討ち取ったといった話など多種多様だが、立場が上がるほどその情報は世界を巡る。
クロエも例に漏れず話題豊富なため、ビブルカードが示すような状態とあればニュースになっていてもおかしくはない。
例えばどこかの国の反乱を治めたが重傷を負った、とか。どこぞの海賊に捕らわれた、とか。
だが一切そういった情報もなくただクロエが死にそうな状況にある。
ならばその状態は隠されている可能性が高く、それができるのはクロエより上の立場のやつら。
そしてシャボンディ諸島で彼女から聞いた話を鑑みれば、世界政府が絡んでいるとローは考えた。
カサカサと時折移動をするビブルカード。
それか一ヶ所にとどまらずに移動していることを示し、ベポが捕まっていなければいいねと言った。
なにか、もう少し情報がほしい。
彼女を救うための手となる情報が…
ぷるぷるぷる…
意識が暗く沈みそうになったその時。
デスクに置いたクロエと繋がる電伝虫が鳴った。
これまて何回と掛けても反応することのなかったそれが、今はずっと鳴り続けている。
思わず顔を見合わせたローとベポ。
眉間に皺を寄せ警戒するような顔つきのローだが、手は迷わず受話器に伸びていた。
がちゃ…
「………」
取ったはいいが無言。
背後から見守るベポは息すらも慎重に吐き出しローの動向を見守る。
『……クロエ中将の…大切な方と繋がる電伝虫と、伺っています…』
暫く無言の後、電話口からは一方的にだが聞いたことのある声がした。
間違いでなければクロエの副官の男だ。
『そちらが誰なのかとかは、問いませんが…クロエ中将が大事だと言っている方ならば…ひとつ、お願いが…』
様子を探るような、それでいて懇願するような声。
黙ったままのローだが、相手の男はそれでもこちらが聞いているのをわかっているように話し続ける。
『力を…貸してくれませんか…彼女を、助けていただけませんかッ…』
目を見開くロー。
ベポもキャプテン!と叫びそうになるのをグッとこらえて彼を見る。
短く息を吐き出したローは手に持つ受話器を口元に近付ける。
その瞳は、力強さを取り戻していた。
「詳しく聞かせろ」
『…ッ!!』
相手が息をのんだ。